子どものそけいヘルニアについて

子どものそけいヘルニア

 股のつけねの部分を鼠径部(そけいぶ)と呼びます。この部分がふくらんでいることに気付いて小児科を受診して、「鼠径ヘルニアが疑われるので、小児外科を受診しなさい。」と言われ、当科を受診なさる方が多いです。この病気は、男の子だけでなく、女の子にもあります。鼠径部の膨らみが見つかるのは、お風呂上り、うんちをした後、そして泣いた後などです。男の子では陰嚢(いんのう)部分が膨れているように見えることもあります。

ヘルニアの原因

 おなかの中の胃や腸などの臓器は、腹膜(ふくまく)という大きな薄い膜でできた風船状のふくろに包まれています。この下の方(足側)が筒状に伸びていると、この中に腸が入り込み、体表面からみると膨れて見えるのです。
 この筒状の部分は、腹膜鞘状突起(ふくまくしょうじょうとっき)と呼ばれ、赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいるときには、だれにでもあります。これが、発達の過程でなくなるのが正常ですが、これが、なくならないで残ってしまったのです。「生まれたときから穴があいているのに、なぜ、今まで腸が出てこなかったのでしょうか?」というご質問をいただくことがあります。その答えはわかっていませんが、お腹の中を観察すると穴のところに薄い膜が張っている場合があることから想像すると、この薄い膜が腹腔内の圧力によって、次第に小さくなり、腸管が入り込むに十分な大きさになったものと考えられます。