A:鼠径ヘルニアは自然に治ることはありません。時には、「知り合いが治ったと言っていますが」という質問を受けますが、これは鼠径ヘルニアと同様に鼠径部が腫れる精系水腫(陰嚢水腫)という病気があり、これを鼠径ヘルニアと診断されていたものと考えます。陰嚢水腫は特に乳児で自然に治ることがあります。
A:手術を受けることは患児にとってはかわいそうなことですが、手術以外には鼠径ヘルニアを治療する方法はありません。
A:手術は体に傷をつける治療ですから、術後には軽度の痛みがありますが、痛み止めの注射や内服薬・坐薬などで痛みを軽減します。一般に小児は大人よりも痛みを軽く感じているようです。転んでおひざをすりむいた位の痛みと想像しています。
A:退院の次の日には、行くことは可能です。しかし、慎重な性格のお子さんでは、あまり動こうとしないことがありますから、無理はさせないでください。
A:腸管が通る筒状の部分は、お腹の壁を構成しているいくつかの筋肉(外腹斜筋・内腹斜筋・腹横筋)で囲まれており、お風呂に入って、リラックスするとこれらの筋肉がゆるみ、腸管が脱出しやすくなったものと考えます。
A:明確に遺伝であると言われてはいません。鼠径ヘルニアの発症頻度が高い疾患なので、たまたま、親子で発症することは確率的にはあっても不思議ではありません。